NGT48と山戸結希、アイドルとエグさ

公開から約1ヶ月、発売から1週間が経とうとしてますが、

NGT48の2nd Single『世界はどこまで青空なのか?』のMusic Video見ました?

 


<期間限定>NGT48『世界はどこまで青空なのか?』MUSIC VIDEO Full / NGT48[公式]

 

いろんな意味でエグくない?

期間限定公開が惜しい

 Sony Music系列の期間限定はあってないようなものとかいう噂もありますが

 期間限定公開!伊藤万理華 17th個人PVフルバージョン『伊藤まりかっと。』

 

 

正直言ってメンバー1人ひとりのキャラクターは大して知らないんで、そういう面での見方はNGTに詳しい人に聞くか、僕を新潟の沼にハメてください← 

 

 

この作品の監督を担当したのは山戸結希

他の作品としては映画は『溺れるナイフ』(2016年)、『5つ数えれば君の夢』(2014年)など、MVは乃木坂46の『ハルジオンが咲く頃』(2016年)、『ごめんね、ずっと...』(2015年)、おとぎ話『COSMOS』(2014年)などなど

個人的には初めて山戸作品に触れた『5つ数えれば君の夢』が衝撃的すぎてずっと追ってる存在

 

 

 

構成は大きく分けて2つ

前半は、アイドルを夢見る田舎の少女が周囲にいろいろ言われる中、自分を貫き続けることで次第に周囲にも認められ、巻き込み、夢を叶える道へと前進していく展開

尺的には12分中の8分30秒と大半がこの部分

前半だけで1本のMV作品として完成してるとも言えるけど、これだけじゃ山戸作品とは言えないでしょっていう

 

 

で、その後半はどんなものかっていうと、まぁまぁの熱量を込めて書きますね←

 

衣装を身にまとい、クラスメイトや先輩たちと一緒に"アイドル"として歌って踊れることのできた少女は、1人みんなとは別の方向にまっすぐと走っていく

直後、まだセーラー服姿の少女が山間の道路を走り抜け、MV冒頭の丘へとたどり着く

自然に向かってセーラー服姿の少女は希望に満ち溢れた声で、広大な自然に向かいアイドルへの思いを叫ぶ

場面は切り替わり、セーラー服からアイドル衣装へと姿を変えた少女が、先ほどとは対立するかのように絶望を感じさせる悲痛なる叫びをこちらへと向けていく

発せられる言葉は同じ

しかし、その発し方から受け取れる思いは真逆

この2つが同じ時間軸上のパラレルだということが感じられる

アイドルに憧れる少女と、アイドルになった少女、この2つを連続して対比させ続け、最後はこんな言葉で締めくくられる

「そんな旅に私の若い命、捧げます」

 

いや差よ()

前半2行で終わらせておいて後半は12行って()

まぁそこまでさせるぐらいの意味が後半にはあるってことで...

 

 

このどこに山戸結希の作家性があるのかと言われたら全部ですと返したいぐらいだけども、いや他作品知らんから...って人がいると思うので簡単に

 

山戸作品の主人公といえば地方で暮らす10代の少女

デビュー作の『あの娘が海辺で踊ってる』(2012年)をはじめ、『溺れるナイフ』(2016年)もそう

少女の人生で多分一番脆い思春期という時期に焦点を当てることで、ジェンダーに対する見方をより強めているかなと

 

本人曰く、映画を作り続ける動機は自分の映画を10代の女の子に届けたいという思い

けど、創られた作品は年代や性別を超え多くの人に評価されているという現状がある

それは、作品の根底にあるものが、誰もが持つ人知れず弱く揺れる想いへの葛藤や解放であるため、多くの人に共感され、波及していってるんじゃないかなと個人的は思ってる

 

そういうことを鑑みると、憧れる者と叶えた者の対比を強調するということは、山戸結希が生み出した作品にとって必然であり、絶対に思える

さらに、NGT48の荻野由佳という要素をここに追加することで、山戸結希の作家性はさらに強調されているのではないかなと

 

山戸結希の作品の別の特徴として台詞回しがあるんですが、この作品は割と直接的だったかなと

それでも1つひとつの台詞から読み取れる重さがあり、そのあたりはさすがだなと

じっくり考えることができるってことは、それだけの意味を孕んでいるってことだしね

 

 

 Twitterにぽろっと書いたけど、西野七瀬のソロ楽曲、『ごめんね、ずっと...』のMVを初めて観た時の感情に激しく近かいなと

『ごめんね、ずっと...』はアイドルとしての西野七瀬と幼少期からの夢を叶えた西野七瀬それぞれがそれぞれの人生を歩み、次第にもうひとりの西野七瀬が見えていく(個人的感覚)みたいな感じのもの

構造的には『世界はどこまで青空なのか?』と似ているので、そこもあるのかなと思ったり

まぁ、乃木坂46 11th Single『命は美しい』のType-Bか、MVコレクション『あの時の彼女たち』に収録されてるので見てみてください

多分『世界はどこまで青空なのか?』を観た時と遠くて近い感覚が味わえると思うので

 

 

 

さてまぁいろいろ言ってきましたが、『世界はどこまで青空なのか?』は純粋に映像作品として素晴らしい

一つの山戸結希作品として成立していて、その個性を存分に感じることが出来るためNGT48やアイドルのファンあるいはヲタクでなくても楽しめるんじゃないかなと

いろんな人に観てほしい、知ってほしい作品でした

 

 

 

 

 

 

あと、アイドルに関するもので、作家性を優先させたというか前面に出している作品に対してGOサインを出したアリオラジャパンは偉大

さすがSONY系列と言わざるを得ない

 

おわり